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症例2:矯正的挺出を行って1歯保存を試みた1例

症例投稿となります
今回は矯正的挺出(詳しくは後述します)を行って1本の歯を抜歯することなく保存した例をご紹介します
  

20代女性 他院で根管治療(歯の根の中の神経の処置)中に歯が欠けてしまったことを主訴に来院されました
写真を見ていただくと分かるように確かに舌側の歯が欠けてしまっており、それが歯と歯肉の境界より深く欠けてしまっています
一般的にはこういう状態になると抜歯という診断をされてもおかしくはなく、この状態で無理やり補綴治療(かぶせもの治療)を行っても咬合力の関係で残っている歯質ごと折れてしまう可能性が高くなり長期予後の保証はしにくくなります

レントゲン診査をしたところ、歯槽骨(顎の中で特に歯が植立している周囲の骨)内の歯根の長さが十分なことを踏まえ矯正的挺出(矯正装置を使って歯を上方に引き出す処置)を行い歯を保存する治療方針としました

上記が装置を付けて上方に引き出すようにした写真となりますが、この処置を行うと歯と共に歯肉や歯槽骨も引き上げられるため、良好な審美性を得るにはそれらを元の位置に下げてあげる必要があり外科処置を行います

外科処置と言われると怖く感じてしまうかも知れませんが局所麻酔下で行う処置であり、麻酔が効いてしまえば痛みは感じません
上記画像は外科処置後、治癒期間をおいた写真になりますが歯肉の中で折れていた線が歯肉の上に出てきて明瞭になりました

その後根管処置(歯の根の治療)を施し、補綴治療を行いました
根管治療の画像は今回の症例テーマとは別となるので割愛させていただきます

補綴材料は強度、患者様の歯列・咬合力を加味してやや審美性は劣りますがジルコニアを選択いたしました
歯肉より歯質が上になったことで被せ物が歯質を全体に抱え込むような補綴処置ができました
これにより咬合力に抵抗する強度が生まれたため長期予後が予測できるようになりました
また、外科処置を行ったことにより引き上げられた歯肉が下がり両隣の歯肉のラインと合わせることができ、良好な審美性を獲得することもできました

治療費(現在)
矯正的挺出35000円
ジルコニアによる補綴治療110000円

矯正的挺出・ジルコニア補綴は保険適用外治療となります
矯正低挺出を伴わない補綴治療であれば材質によって保険範囲内で行える治療も当院では行っております
残っている歯根の長さによっては矯正的挺出は行えない場合もあります

詳しくは検査の上ご説明いたしますのでお問合せ、ご予約くださいますようお願いいたします

 

 

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